地図データベース・ソフトウェア
MapExpert Ver 4 は、Windows 95 / NT 4.0 上で動作する地図データベース・ソフトウェアで、平面直角座標系、あるいはUTM座標系の地図DB上で、ユーザの各種データを管理、検索、集計等を行うことができるように設計されています。
MapExpert は、「地図上でのデータ管理に必要な基本的で理解しやすいモデル」を提供することを目標に開発してきました。そのため、地図DBを背景として、ユーザのデータをカードDBとして重ねて管理する方式をとっています。一度、作成したデータは異なる縮尺の地図DB上へ変換できるようにしています。
地図DBは、国際航業(株)、(株)ゼンリン、(財)日本地図センターなどの発行する住宅地図、ベクトル地図、ラスタ地図などの他に、航空写真地図なども利用できるように設計されています。ユーザ独自の紙の地図等を利用する場合は、地図DB作成ツール PhotoExpert で、地図の図郭に切り出して利用できます。
MapExpert Ver 4の基本仕様
MapExpert は、カード型DBのレイヤ数とレイヤに定義できる図形の種類、それに付随する機能等により、3段階の製品に分けられています。次に、MapExpertファミリの基本仕様を示します。
製品名 |
MapExpert Standard |
MapExpert PRO |
MapExpert SuperPRO |
動作環境 |
Windows 95 / NT 4.0 |
Windows 95 / NT 4.0 |
Windows 95 / NT 4.0 |
バージョン 地図DBの種類 登録可能な地図DB数
|
Ver 4.0 共通仕様 500 |
Ver 4.0 共通仕様 500 |
Ver 4.0 共通仕様 500
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カードDBの仕様 レイヤ数 レイヤ・カード型
ビデオ再生機能 ピクチャ表示機能 リンク管理 リレーション管理 ネットリスト出力
|
16 ピン、ライン、 エリア、シンボル あり(最大10) あり(最大10) なし なし なし
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64 シーズ、メッシュを追加 あり(最大10) あり(最大10) あり なし なし
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128 パーツを追加
あり(最大10) あり(最大10) あり あり あり
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OLE2オートメーション GPS機能 付属ユーティリティ
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なし あり GpsAgent 付属 数値地図 10000、 数値地図 2500変換ツール
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あり あり GpsAgent 付属 数値地図 10000、 数値地図2500変換ツール
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あり あり GpsAgent 付属。 数値地図10000, 数値地図 2500変換ツール パーツエディタ (PartEdit) 付属 |
MapExpert のユーザインターフェイスは、MDI方式と呼ばれる複数の地図DBを同時に開くことのできる方式を採用しており、各ダイアログはフレームの縁にドッキング可能なため、画面サイズに応じて好みのレイアウトに設定することができます。
検索した結果は、マイクロソフト Excel97 へOLE2オートメーションにより渡すことが可能です。
MapExpertの地図DB仕様
通常、地図制作会社等から発行されているディジタル地図DBは、基本単位の図郭を並べたメッシュ構造になっています。
地図DBの種類
現在、(財)日本地図センター、国際航業(株)、(株)ゼンリンのベクトル地図DBの変換ツールを準備しています。その他、都市計画図などの紙の地図は、地図DB作成ツール PhotoExpert により、指定図郭に切り出して MapExpert で利用することができます。
地図名称 |
識別 文字 |
種類 |
縮尺 |
範囲 |
精度、 ドット数 |
座標系 |
変換ツール |
A |
ベクトル |
1/500 |
250x187.5m |
1cm/1dot |
平面直角 |
PAREA.EXE |
|
PAREA People |
P |
ベクトル |
1/1000 |
500x375m |
10cm/dot |
平面直角 |
PAREA.EXE |
PAREA Kite |
K |
ベクトル |
1/2500 |
500x375 |
10cm/dot |
平面直角 |
PAREA.EXE |
PAREA Bird |
B |
ベクトル |
1/5000 |
2Km x1.5 Km |
20cm/dot |
平面直角 |
PAREA.EXE |
PAREA Town |
L |
ベクトル |
|||||
PAREA Road |
HC2 |
ベクトル |
1/25000 |
UTM 座標 |
PROAD.EXE* |
||
PAREA Wide |
ベクトル |
1/20 万 |
開発予定 |
||||
ラスタ 500 |
C |
ラスタ |
1/500 |
250x187.5m |
2496x1872 |
平面直角 |
PhotoExpert |
ラスタ 2500 |
R |
ラスタ |
1/2500 |
500x375m |
2496x1872 |
平面直角 |
PhotoExpert |
ラスタ 2500 |
G |
ラスタ |
1/2500 |
200x150m |
3072x2304 |
平面直角 |
PhotoExpert |
ラスタ 5000 |
D |
ラスタ |
1/5000 |
2Km x1.5 Km |
3072x2304 |
平面直角 |
PhotoExpert |
ラスタ 25000 |
J |
ラスタ |
1/25000 |
1920x1536 |
UTM 座標 |
PhotoExpert |
|
ラスタ 25000 |
W |
ラスタ |
1/25000 |
3072x2048 |
UTM 座標 |
PhotoExpert |
|
ラスタ 20 万 |
X |
ラスタ |
1/ 20 万 |
3072x2048 |
UTM 座標 |
PhotoExpert |
|
ラスタ 100 万 |
Y |
ラスタ |
1/100 万 |
3072x2048 |
UTM 座標 |
PhotoExpert |
|
DM 500 |
A2 |
ベクトル |
1/500 |
400m x 300m |
2cm/dot |
平面直角 |
DMCONV32* |
DM 1000 |
開発中... |
||||||
DM 2500 |
B2 |
ベクトル |
1/2500 |
2Kmx1.5 Km |
10cm/dot |
平面直角 |
DMCONV32* |
数値地図10000 |
S |
ベクトル |
1/10000 |
1m/dot |
平面直角 |
SMAPCONV* |
|
数値地図 2500 |
S2 |
1/2500 |
5cm/dot |
平面直角 |
SP25CONV* |
||
FD Map |
F |
ベクトル |
1/ 20 万 |
UTM 座標 |
FDCONV* (未公開) |
||
ユーザ座標系 |
UA |
ラスタ |
1024x1024 |
ユーザ座標 |
PhotoExpert |
||
ユーザ座標系 |
UB |
ラスタ |
2048x2048 |
ユーザ座標 |
PhotoExpert |
||
|
|||||||
ゼンリン 住宅地図 |
V |
ラスタ |
375x500m |
1728x2304 |
平面直角 |
PhotoExpert |
|
ゼンリン AERA25 |
HB2 |
ベクトル |
1/25000 |
UTM 座標 |
ZMAPCONV* |
||
ゼンリン 道路地図 |
HA2 |
ベクトル |
1/25000 |
UTM 座標 |
ZMAPROAD* |
||
ゼンリン 住宅地図 |
Z2 |
ベクトル |
750x500m |
5cm/dot |
平面直角 |
ZMAPCONV* |
表1 MapExpert で利用できる地図DB一覧
GPSレシーバとの連動
MapExpert に付属の GPSAgent と連携することにより、緯度経度を計算して、MapExpert の地図DB上でナビゲーションができます。(MapExpert 上の地図DBはすべて緯度経度が算出可能です。)サポートしているGPSレシーバには、ソニー(株)社製 IPS-5000 、Trimble Navigation 社製 MobileGPS, その他 NMEA標準フォーマットの0183C,183Dをサポートしている Magellan Systems 社製 GPS Trailblazer Meridian などが利用できます。サポートされていないデバイスについては開発可能です。
MapExpertのカードDB仕様
カードDBとは、ユーザのデータを格納するデータベースのことです。これは、地図DB上にオーバラップして表示されます。カードDBは、レイヤ構造になっており、レイヤごとに、
ピン(点)、ライン(線)、エリア(面)、シーズ(種)、メッシュ(枠)、パーツ(部品)などの図形型を指定して、図形とカードをペアにしてレイヤに配置できます。
カードレイヤのタイプ(図形型)
カードDBには、次に示すような図形を定義することができます。各図形には、カード属性をぶら下げることが可能です。
ピン(点)
地図上の1点を指定して定義する図形です。
ライン(線)
地図上の任意の点を結んだポリラインとして定義されます。
エリア(面)
地図上の任意の点を結んだ閉領域として定義されます。面型図形には、中抜き、飛び地を定義できます。
シンボル(記号)
記号は、バス停、郵便局など地図上の記号として定義される点を表現するのに使われます。
記号のサイズ、角度を変更することができます。性質的にはピン(点)と同じです。
シーズ(種)
シーズは、特殊な機能を備えた点のことです。シーズの周りを囲む線分を自動抽出するのに使うことができます。
メッシュ(枠)
メッシュは、25m、50m、100m(ベースとする地図DBによって異なります)ごとに、区切った領域をあらわします。あるメッシュに属す、エリア(面)の面積の割合などを計算するのに使うことができます。このほか、メッシュごとにユニークなIDが設定されるので、メッシュ生成した後で、メッシュごとに属性データを管理するなどにも使うことができます。
パーツ(部品)
パーツは、電気や、ガスなどのネットワークのノードを表現する部品をあらわします。パーツを使うことにより、ケーブルや配管等で接続されたネットワークを表すことができます。ネットワークは、ノードを移動すると自動的に再描画される構造になっています。
カードDBのその他の機能
カードの条件表示
地図上に定義された図形・カードデータは、そのカードデータの内容の条件等によりパターン、色等を変更して条件表示することが可能です。これにより、特定の条件を持つ図形だけを強調表示したり、条件により段階的に色分けするなどが簡単にできます。
ピクチャ再生機能
カードレイヤ中の各図形には、属性として持たせるカードの他に、写真やラスタイメージを10種類まで関連付けることができます。これらは、タブで切り替えて参照することが可能です。
ビデオ再生機能
カードレイヤ中の各図形には、写真やラスタイメージを関連づけられると記述しましたが、その他に、ビデオ(AVI形式)ファイルも10種類まで関連付けることができます。
リンク
リンク機能は、ラインやエリア等のポリゴン系の図形同士や、パーツ等を接続する機能です。リンクされた図形同士は、片方の図形を変形させると、付随してもう一方の図形も変形させることができます。編集機能として強力な機能です。
リレーション
リレーション機能は、リンクと似ています。違いは、リンクが1つの図形を変形させると、リンクされたライン等の図形も変形するのに対して、リレーションは、図形の変形は起こりません。リレーションは、単に図形と図形を関連付ける機能です。
OLE2オートメーション
OLE2 オートメーションは、マイクロソフト社が提唱する Windows ベースのオブジェクト連携機能です。MapExpert では、PRO 版以上で OLE2 オートメーションによるオブジェクトの操作が利用可能です。
MapExpert を使ったアプリケーションを VisualBasic 等で記述する場合は、MapExpert がOLEサーバ・プログラムになり、VisualBasic 等で作成するアプリケーションが、クライアント・プログラムになります。VisualBasic から MapExpert の機能を呼び出すのは、 マイクロソフトExcel等を呼び出すのと同じで、非常に簡単です。MapExpert は、現在右図に示すようなオブジェクトを提供しており、図2に示すような方法でVBから MapExpert のオブジェクトを呼び出します。
図1 MapExpert の提供するオブジェクト
図2 VBクライアントからMapExpert のオブジェクトをコールする。
VBのアプリケーションが、MapExpert の処理の進行状況にあわせて並行に動作したい場合があります。例えば、新規に図形・カードを登録する場合など、点を指定したタイミング、およびライン等を作成する場合に、ラインの各頂点を定義したタイミングでイベントを返したい場合があります。MapExpert では、これをコールバック・イベントで実現しています。
実際には、カードを作成するメソッドを呼び出す場合に、コールバックを受けるVBのオブジェクトを指定します。そして、MapExpert のメソッドを呼び出すとその結果が返されます。この様子を図3に示します。
図3 VBクライアントがMapExpert のオブジェクトからコールバックを受ける。
次の図は、VBのアプリケーションと MapExpert がOLE2で接続されている簡単なアプリケーションの例です。この例では、左側にVBのアプリケーションがあり、右側に MapExpert があります。VB側のボタンを押して、MapExpert の機能を呼び出すことができます。MapExpert 側のメニュー等を非表示にすることで、VBクライアントと一体になったアプリケーションが開発できます。MapExpert が保持する機能を呼び出すだけでプログラミングできるので、地図に関連する部分の開発は非常に簡単です。
利用可能なコンピュータおよび周辺装置
MapExpert Ver 4.0 は、 Windows 95 / NT 4.0 以降に対応しており、次のような推奨仕様以上のハードウェアを備えたパーソナル・コンピュータで動作させることができます。ハードウェアの仕様では、特に特殊な条件は必要としないように設計されているので、Windows パソコンであればどのメーカのものでも動作させることができます。ただし、グラフィックは、256色以上の表示が行えれば問題ありませんが、ラスタ地図DBを表示する場合に限り、256色(固定)を前提に設計されています。ラスタ地図DBを256色以外で利用すると、パソコンのディスプレイカードによっては表示速度等のパフォーマンスが落ちる場合があります。
動作環境
MapExpert Ver 4.0 の動作環境を示します。
ハードウェア |
仕様 |
CPU OS メモリ ポインティング・デバイス 画面解像度 色数 プリンタ |
i486 以上 Windows95, NT4.0以上 20MB以上 マウス等必須 800x600ドット以上 256色以上 Windows から出力できるドライバが必要 |
以上。